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いのちの川

油絵を見て  07・10・16

 友と3人銀座へいきました。銀座4丁目の交差点で周りを見渡し、オーそうだあそこは服部時計店 、はるか昔高校入学のとき、母と一緒にいってお祝いに時計を買てもらったお店がみえます。懐かしい思いで、今はこの世にいない母を思いだしました。 50年以上も昔のことでした。
 日本橋へは書道の関係で、和紙を買ったり 、聖句書道のお稽古に月に1回出かけますが、銀座のほうに足を伸ばしたのはほんとに久しぶりでした。
 友の1人が、銀座でみた油絵がとても良かったといわれたので,見に行きましょうということになり、目的の画廊を探して拝見しました。渡部正広 油絵展
 それは色彩がやさしい、日本画のごとき雰囲気の油絵でした。光と影を追求されているようで、パリの街並みを絵描いており 題名にー其の存在の深みに向かってーという魅力的な題がついていました。
 油絵というともっと強いタッチで、アブラで盛り上がったものを想像していましたが、そばによると油絵の具でかかれているのが判りますが、少し離れるとそれを感じさせない穏やかな色合いで、木の葉を,建物を,表現されていました。 絵は好きで上野に良く見に行ったものですが、最近年をとり、遠くへいくことがしんどくて行っていませんでした。
したがって絵の表現に対する自分の感じ方や感覚に、この見方でいいのかなという、かすかなと惑いも起こりました。美しくやさしい感じで、書かれた方の人柄も偲ばれる様にも思いましたが、 力づよさ、生き生きとした躍動感は、私には感じられなかったのです。
動くものでなく書かれた対象が静的なものなので、この柔らかなタッチの中では、強さを躍動感を同時に求めるのは,無理なのかなーとも思いました。
絵の方はそんなわけで心の落ち着きが生まれ、よい絵をみせていただいたなーとおもいまた。

 それと同時に入り口受付のところに、作者を語っている画家の 李 金佳氏の文章に、とても心ひかれたのです。良く彼のことを観察し温かい目で見つめ、実に詳しく描く姿を、書きとめています。あたりの情景、空気、光の様、時間と天気、建物と一緒に変わる光の様子、とおりの人たちの様子、とにかく其の文体の詳しいこと、表現の美しさに魅せられました。李さんは、渡部さんの二歩後ろに立ち、彼がパリを書く姿を観察します。
 彼の言葉に「なんて良い光だろう。そう思わないかい。。目を閉じて、少し休んでまた見るといい。」 私は目を閉じ、少ししてから再び目をあけた。だが、何の変化もない。「少し見てから、必ず目を閉じる。そして、次に目を開けると、ようやく光の良いところが見えるんだ。もう一度見るときは出来るだけ目を細めて」。かれはそう言うと笑った。そしてさらにもう一言、「絶対秘密だよ」。  私は目を細くしてフェルー通りみた。景色はまつげに従って小刻みに揺れているだけに思えた。さらに目を細めると、通りは幾段もの透明な光の束に変わり、ふるえながら消えた。

この秘密は、はっきり告げられたとしても、それを理解することが出来ない。だからここに書き記しておく。という言葉が李さんはかかれていました。

 我が家の近くは木や建物にさえぎられ、朝日は見えないので、夕日の頃公園の中にたたずみ、夕日に向かい試してみよう。光の向こうに、心にどんな心象が現れるだろうか。すぐにもためしてみたかったが、昨日も今日も曇りと雨模様、晴れた日にぜひ試してみよう。
 知らなかった世界に出会えるかもしれないと期待して。
by hirokokk | 2007-10-16 17:34
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